富士山周辺には富士五湖と呼ばれる5つの湖があります。東側エリアから順番に山中湖・河口湖・西湖・精進湖・本栖湖の5つの湖です。
山中湖:やまなかこ
河口湖:かわぐちこ
西 湖:さいこ
精進湖:しょうじこ
本栖湖:もとすこ
しかし、この周辺にはもうひとつ隠れた湖があることをご存じでしょうか?
西側エリアにある田貫湖(たぬきこ)です。
絶景マニアである管理人、絶景-taroがもっとも通っている絶景ポイントでもあります。
とても魅力的な田貫湖。ですがその反面、撮影者にとっては試練とも思える難点もいくつかあります。そのことで過去に何度も挫折を味わった私の経験を踏まえてご紹介したいと思います。
田貫湖の魅力 | 田貫湖の難点 |
---|---|
・逆さ富士がよく見られる ・ひと気が少なく静か ・駐車場が近い | ・ヘッドライト ・懐中電灯 ・釣り人 |
田貫湖
田貫湖って?
田貫湖は「たぬきこ」と読みます。
静岡県富士宮市にある湖。湖と言っても自然にできた湖ではなく農業用水を確保するために昭和初期に作られた人造湖です。
農業用なので春先には水量が増し、ほとりに架かる桟橋が水没するほど水面が上がります。
湖は1周すると約4km。水深は8m程度のコンパクトな湖。周囲にはキャンプ場や宿泊施設、レストハウスや公衆トイレなど整備の整った施設があります。
おすすめの時期や時間帯
季節は問わず年間通して魅力的なロケーションです。撮影におすすめな時間帯は深夜から明け方。天候の条件が整えば一晩中撮影が楽しめる絶好のロケーションです。
田貫湖 3つの魅力
- 逆さ富士が見られる
- 人が少ない
- 湖畔近くに駐車できる
逆さ富士が見られる
田貫湖は人造湖であるため水深は浅く8m程度です。また風を巻き込みにくい地形にあることも手伝って、富士五湖と比べると水面が穏やかです。穏やかな湖面には風景が映り込みやすいため、逆さ富士を見るのに絶好のロケーションになります。
富士五湖でもっとも逆さ富士が見られるのは、ここ田貫湖です。逆に逆さ富士が現れにくい湖は本栖湖です。逆さ富士事情については別記事を準備中です。
波がたたない湖面はまるで鏡のよう。湖面に映り込んだ富士山がきれいに見えます。
1年に2回、4月20日と8月20日の前後は富士山の頂上から太陽が昇るダイヤモンド富士が見られます。
ダイヤモンド富士をもとめて多くの人が湖畔にやってきます。
田貫湖が賑わう大きなイベントとなり、この期間は駐車場に入りきらない車が湖畔を半周するほど賑わうので、私のように撮影時に人を避けたい方は要注意です。
私はこの期間は田貫湖周辺を避けるように行動します・・。
人が少ない
1年に2回のダイヤモンド富士のシーズンを除けば基本的に人はまばら。私は深夜から明け方までが撮影の時間帯なので、湖畔を独占できることも珍しくありません。
貸しボートがある田貫湖なので、休日の日中はそこそこ訪れる人は多くいますが、夜から朝方までをメインに活動される人にとっては絶好の撮影環境といえます。
湖畔近くに駐車できる
特に深夜の時間帯に長時間撮影する人にとって、撮影ポイントの近くに車を停めておけるメリットはとても大きなものです。機材の持ち運びが楽なことはもちろん、暑さ寒さを回避できたり、仮眠や食事などで自分の車を利用できる点は大きなメリットです。
駐車場の一角には綺麗に整備された公衆トイレがあるので女性やお子さん連れでも安心です。
もちろん、駐車場もトイレ利用も無料です。
田貫湖 3つの難点
私の撮影スタイルでもある、夜間の長時間露光撮影時、もっとも避けたいものは不用意な光の混入です。
本記事の本題である田貫湖3つの難点をご紹介します。
難点を知らず、大きな期待を抱いて田貫湖に来られる撮影者にとってはストレスに感じることもあるかもしれません。あらかじめ理解したうえで出かけることをおすすめします。
田貫湖での撮影時の難点
- 車のライト
- 釣り人のライト
- 釣り人の映り込み
はじめにお伝えしておきますが、車のライトや釣り人が悪いわけではありませんのでご了承ください。
車のライト
田貫湖の撮影ポイントから正面にある富士山を撮る際、田貫湖にやってくる車が正面から現れこちらに向かってくるロケーションになっています。撮影ポイントの駐車場に来る唯一の道路が構図の真正面にあるということ。
もちろん撮影者もここを通って来るわけなので不満を感じてはいけません。そのことを理解してあらかじめ覚悟を決める必要があります。
上図の赤いラインを通る車のヘッドライト・テールライトは確実に写り込みます。
長時間露光(長秒撮影)がメインの私の撮影スタイルでは、撮影中の光の混入は死活問題です。数10分の露光中にヘッドライトが映り込み撮影中止!このような状況は珍しいことではありません。
対策としては、
常にシャッターオフできる状態で構図の前方を注視していること。
これに尽きます。
私の場合はレリーズリモコンのボタンに指を添えた状態でカメラの傍に立ち尽くすスタイルとなります。
一瞬でも目をそらすと前方にヘッドライトが出現・・。撮影あるあるです。
1時間以上誰も来ない場合もあれば、連続して車が来ることもあるので、撮影条件が良いときや渾身の1枚を撮影中には気を抜くことができません。
たて続くヘッドライトを逆手に(開き直って)撮った写真です。
重ねてお伝えします。
やってくる車が悪いわけではなく、撮影に不向きな要素があるという点をご理解ください。
釣り人のライト
撮影ポイントから富士山を撮る際に、構図の中心にくる場所がなんと釣りポイント。
田貫湖は早朝の釣りに備えて深夜から準備に訪れる釣り愛好家が少なくありません。道路沿いに車を停める方の中にはヘッドライトを点灯させたままポイントを探る方がいたり、湖畔を懐中電灯を照らしながらポイントを探る方もいます。
この状況はどうしようもありません。光がなくなるのを待つ以外にありません。
釣り人の映り込み
撮影ポイントにはフォトジェニックな桟橋が2つあります。
桟橋の先端からシンプルな富士山を撮る場合や桟橋を前景として構図に入れる場合など有効に活用できます。
でも、撮影者にとってありがたい桟橋は、釣り人にとっても必要なものです。
湖にせり出した桟橋の先端は釣り人にとっていち早く確保したいポイントでもあります。
深夜から場所取りのために釣り道具を置いておく人、夜明けの狙ったタイミングに釣りをはじめる人・・。撮影する側にとっては、できれば写真のなかに入れたくない状況もあります。
この場合の対策は・・
残念ながらありません。
あきらめるか、桟橋を映り込まない構図を探るほかにありません。
田貫湖 3つの注意点
- 怖い
- 水没
- 夜明けのさざ波
怖い
深夜の田貫湖畔にいるのは自分だけ。このような状況も珍しくありません。湖畔で撮影していると背後で物音や獣の鳴き声(おもには鹿)が聞こえることが頻繁にあります。たぬきや猫の影がすぐ後ろにあることも珍しくありません。
対策としては
- 複数人で出かける
- スマホで音楽を鳴らす
こだわった写真を求めて撮影に専念したい場合は単独で行動しがち。そんなときはスマホの音楽を大音量でならしてみましょう。スマホ程度の音なら周囲に迷惑になることはありません。
水没
私は過去にカメラの水没と自分自身の水没を経験しています。
カメラの水没
桟橋の上に三脚を立てて忘れ物を取りに車にいきました。桟橋にもどると三脚ごとカメラが転倒し湖中に水没していました。
公衆トイレにあった長い竿を借りて15分ほどかけて水中から引き上げましたが、カメラは二度と電源が入ることはありませんでした。
一見フラットに見える湖畔の木床ですが、つなぎ目が盛り上がっていたり、パネルの間に広い隙間が空いていたりと不安定な状況だったようです。
対策としては
- 床のつなぎ目は避けて三脚を立てる
- 三脚は無駄に伸ばさずに設置する
三脚の伸長めいっぱいに伸ばすと不安定になりがちです。私は床面から1m~1.3m程度の高さに抑え、万が一三脚が転倒しても湖面に落ちない位置に設置するようにしています。
自身の水没
冬の桟橋はつるっつるに凍っています。いつもと同じようにスニーカーでスタスタ歩いていくと途中でスルっと滑り、湖へ。幸い湖畔近くの浅い場所だったので膝下が濡れた程度ですみました。
対策としては
冬場は凍っている前提で慎重に歩く以外にありません。
夜明けのさざ波
湖面が穏やかな田貫湖ですが、一晩中逆さ富士が見られても明け方にさざ波が立ち、肝心な時間帯に映り込みが見られない・・。このようなことは珍しくありません。
地形的なものなのかわかりませんが、田貫湖は夜明けの時間帯に決まってさざ波がたちます。数分でもとに戻る場合もあれば、いつまでもさざ波が消えないこともあります。
明け方にはさざ波が出ることが多いことを考え、映り込みが見えている間は撮影に専念することをおすすめします。
対策は・・
ありません。夜明けには逆さ富士が見えなくなる前提で撮影計画を考える以外にありません。
まとめ
最後に、明け方前後のタイムラプス動画(早回し動画)をご紹介します。
正面の左寄り辺りからクルマのヘッドライトが不定期に入り込む様子と、夜明けにかけて湖面にさざ波がたつ様子がおわかりいただけると思います。
絶景撮影ポイントとして魅力ある田貫湖。
その反面、撮影者の努力や工夫だけでは対応できない不可抗力が多いロケーションでもあります。
重ねてお伝えしますが、決してやってくる車や釣り人がいけないと言っているわけではありません。
私もこのポイントに来るためには通る道であり、また釣り人にとっては撮影者の思いや都合は知るすべもないことです。
お伝えしたいことは、これらの要因があることで撮影の難易度が比較的高い撮影ポイントであるということです。
難点や注意点を知ったうえで撮影にのぞむことで、遭遇したときのショックが和らいだり、考えられる対策をとって撮影をはじめることができます。
少しでも参考になれば幸いです。
コメント
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